「整骨院に行きたいけど、費用がいくらかかるか心配……」「保険を使えば500円くらいで通えると聞いたけど、本当?」そんな疑問をお持ちの方は、非常に多くいらっしゃいます。
整骨院・接骨院での施術は、一定の条件を満たせば健康保険が適用され、自己負担額を大きく抑えることができます。しかし、「どんな症状でも保険が使える」「絶対に500円で通える」というわけではありません。保険適用の範囲は法律で明確に定められており、条件を誤解したまま通院すると、後から高額の自費負担が発生するケースもあります。
この記事では、整骨院での保険適用条件・自己負担割合・実際の料金の目安について、正確な情報をわかりやすく解説します。整骨院の利用を検討している方、費用面で不安を感じている方にぜひご参考いただければと思います。
臨床歴12年・国家資格4種(柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師)を持つ専門家の監修のもと、最新の情報をお届けします。
この記事のポイント
- 整骨院で保険が適用される症状は「急性の外傷」に限られる(慢性の肩こり・腰痛は原則対象外)
- 自己負担割合は年齢・所得により3割・2割・1割と異なり、500円になるケースとならないケースがある
- 「柔道整復師 保険適用」の仕組み(受領委任制度)を正しく理解することが重要
- 整骨院と整体・整形外科・マッサージ院の違いを把握して適切に選択する
こんな方に読んでほしい
- 整骨院を初めて利用する予定で、保険適用の条件を知りたい方
- 整骨院の施術料金・自己負担額について正確に知りたい方
- 「整骨院 保険 500円」で通えるのか確認したい方
- 整骨院と整体院・接骨院・整形外科の違いを理解したい方
整骨院・接骨院とは?【法律上は同じ施設】
整骨院と接骨院は、名称が異なるだけで法律上はまったく同じ施設です。どちらも「柔道整復師」という国家資格を持った専門家が施術を行う施設であり、「柔道整復師法」によってその業務が定められています。
柔道整復師は、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷(筋断裂・肉離れなど)の施術を行うことができます。これらの症状に対しては、健康保険が適用されるため、「整骨院 自己負担」を大きく抑えることが可能です。
一方、施術所の名称については法律による規定がないため、同じ施術所でも「整骨院」「接骨院」「ほねつぎ」などの名称が混在しています。「接骨院 保険 条件」と「整骨院 保険 条件」は同一のルールが適用されますので、どちらの名称の施術所であっても保険適用の考え方は変わりません。
なお、整骨院・接骨院は「施術所」であり、医師が診療を行う「病院・診療所」とは別の施設です。医療機関ではありませんが、健康保険組合・国民健康保険などの保険が適用される「療養費」制度のもとで施術を提供しています。
整骨院と整体・マッサージ院・整形外科の違い
整骨院を選ぶ前に、似たような施設との違いを整理しておくことが大切です。
整骨院(柔道整復師)は、急性外傷に対して保険適用の施術を行うことができますが、慢性的な疲労・肩こり・腰痛などのケアは保険の対象外です。慢性症状のケアを希望する場合は、自費施術か、整体・マッサージ院などの利用が適しています。
整骨院で保険が適用される症状【5種類】
健康保険が適用されるのは、以下の5種類の「急性または亜急性の外傷性の症状」です。この点は非常に重要なので、正確に理解しておきましょう。
1. 骨折(こっせつ)
骨が折れた状態です。応急処置については整骨院でも対応できますが、骨折の施術を続けるには医師の同意が原則として必要です。骨折が疑われる場合は、まず整形外科を受診して診断を受けることをおすすめします。
2. 脱臼(だっきゅう)
関節が正常な位置から外れた状態です。応急の整復処置は整骨院で行えますが、脱臼の継続的な施術にも医師の同意が必要です。
3. 打撲(だぼく)
転倒・衝突などで体の表面を強く打った外傷です。皮下出血・腫れ・痛みを伴います。「いつ・どこで・何をして起きたか」が明確であれば保険適用の対象になります。
4. 捻挫(ねんざ)
関節が不自然な方向に動いたことで、靱帯・筋肉・腱が損傷した状態です。足首・手首・膝の捻挫が多くみられます。急性の捻挫は保険適用の対象です。
5. 挫傷・筋断裂(ざしょう・きんだんれつ)
いわゆる「肉離れ」も含む、筋肉や腱が引っ張られたり断裂したりした状態です。スポーツ中の急性障害として発生することが多く、保険適用の対象です。
保険が適用されない症状(重要)
以下の症状・目的の施術は、整骨院でも保険適用の対象外になります:
- 慢性的な肩こり・腰痛・疲労
- 慰安目的・リラクゼーション目的のマッサージ
- 神経痛・リウマチ・五十肩・変形性関節症などの疾患による痛み
- 原因が不明確な痛み(「以前から何となく痛い」等)
- 病院・診療所で同じ症状の治療中の場合
「なんとなく腰が痛い」「慢性的に肩がこっている」という場合は、整骨院の保険適用対象外となります。自費施術として受けることは可能ですが、その場合は全額自己負担となります。
※本記事の内容は一般的な健康情報の提供を目的としています。効果には個人差があります。
保険適用の仕組み【受領委任制度とは】
整骨院の保険請求は「受領委任制度(じゅりょういにんせいど)」という仕組みで行われています。これは、患者が自己負担分のみを窓口で支払い、残りの療養費を柔道整復師が保険者(健康保険組合・国民健康保険等)に直接請求する制度です。
この仕組みのおかげで、患者は毎回の窓口支払いを自己負担割合分だけで済ませることができます。医療機関の受診と同様のイメージです。
ただし、施術録(施術の記録)に基づいて保険者が費用を確認する「柔道整復師療養費」の審査があり、保険者から患者に対して「施術を受けたか」の確認文書が届くことがあります。これは不正請求防止のための正規の手続きです。心配せず、正確に回答しましょう。
整骨院の自己負担割合【年齢・所得別の詳細】
整骨院での保険適用時の自己負担割合は、一般的な医療機関と同様に年齢・所得で決まります。
「現役並み所得」とは、標準報酬月額28万円以上(70〜74歳)や現役並みの所得水準(75歳以上)に該当する方を指します。詳しくはご加入の健康保険組合・市区町村にご確認ください。
整骨院で500円になるのはどんな場合?【正確な説明】
「整骨院に保険で500円で通える」という情報をよく見かけますが、この500円はどのような場合に該当するのでしょうか。正確に解説します。
500円になるケースの計算式
自己負担額 = 施術料金の合計 × 自己負担割合
施術料金は、施術した部位数・処置内容・初診か再診かによって変わります。
3割負担(70歳未満一般)の場合の目安
- 初診時:施術料金 1,500〜2,000円 → 自己負担 450〜600円
- 再診時(部位少ない場合):施術料金 1,300〜1,800円 → 自己負担 390〜540円
3割負担の再診時は、施術部位が少なければ400〜600円台になることが多く、500円前後になることもあります。
1割負担(75歳以上後期高齢者)の場合の目安
- 初診時:施術料金 1,500〜2,000円 → 自己負担 150〜200円
- 再診時:施術料金 1,300〜1,800円 → 自己負担 130〜180円
1割負担の方は、施術料金が多少高くても自己負担は200円以下になることが多いです。
重要な注意点
「整骨院に行けば必ず500円」「誰でも500円で通える」というわけではありません。実際の自己負担額は以下によって変動します:
- 施術した部位の数(多いほど費用増)
- 初診か再診か(初診は初検料が加算される)
- 使用した処置の種類(電気療法・テーピング等)
- 年齢・所得による自己負担割合
事前に「だいたいいくらかかるか」を施術所に確認することが安心につながります。
※施術料金・自己負担額は厚生労働省の定める「柔道整復師療養費の算定基準」に基づきますが、施術内容により異なります。
保険適用に関する注意点【受診前に確認を】
保険を適用して整骨院を利用する際に、知っておくべき重要な注意点をまとめます。
1. 受傷原因を正確に伝える
保険適用には、「いつ・どこで・何をして受傷したか」が明確であることが必要です。原因があいまいな場合は保険適用が認められないことがあります。
2. 病院と整骨院の二重受診には注意
同じ症状・部位について、病院(整形外科等)と整骨院の両方に同時期に通院している場合、保険が重複適用されないことがあります。どちらでケアを継続するか選択することが必要になる場合があります。
3. 長期・頻回受療の場合は注意
厚生労働省の通知(2024年改正)により、初検日から5ヶ月を超えてかつ月10回以上の施術を継続している患者については、保険者が「償還払い」(一旦全額自己負担・後日払い戻し)に変更できるようになりました。長期的に通院する予定の方は施術所に確認しましょう。
4. 「柔道整復師療養費支給申請書」への署名
整骨院では、施術ごとに「療養費支給申請書」への署名を求められます。これは保険請求のための正規の書類です。内容を確認のうえ署名してください。白紙委任・白紙署名は避けることが推奨されます。
5. 保険者からの確認文書
健康保険組合等から「施術を受けたか」の確認文書が届く場合があります。正規の手続きですので、施術を受けた事実を正確に回答してください。
研究から見た手技療法の効果(PubMedエビデンス)
整骨院で行われる手技療法(外傷に対する施術)の効果については、国際的な学術誌にも研究報告が掲載されています。以下は実在するPubMed掲載論文の引用です。
足関節捻挫の診断・治療ガイドライン
Vuurberg G, et al. (2018). Diagnosis, treatment and prevention of ankle sprains: update of an evidence-based clinical guideline. Br J Sports Med, 52(15), 956.
(PMID: [29514819](https://doi.org/10.1136/bjsports-2017-098106))
整骨院で最も多い保険適用症状のひとつ「足関節捻挫」について、国際的なエビデンスベースの臨床ガイドラインが報告されています。本ガイドラインでは、正確な診断のもと、固定・装具・段階的な運動療法を組み合わせたアプローチが機能回復に有効であることが示されています。また、再捻挫の予防にはアンクルブレースの使用が推奨されています。
※上記の研究結果は集団平均値であり、個別の効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。
神経モビライゼーションの筋骨格系疾患への有効性
Basson A, et al. (2015). The effectiveness of neural mobilizations in the treatment of musculoskeletal conditions: a systematic review protocol. JBI Database of Systematic Reviews and Implementation Reports, 13(1), 65-75.
(PMID: [26447008](https://doi.org/10.11124/jbisrir-2015-1401))
腰痛・頸部痛・上肢痛など筋骨格系疾患に対する神経モビライゼーション技術のシステマティックレビューでは、神経関連の痛みへのアプローチとして有効性が検討されています。これらの手技は整骨院での複合的なケアの中で活用されることがあります。
※上記の研究結果は集団平均値であり、個別の効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。
こんな症状は先に病院へ【Red Flags・要注意サイン】
注意:以下の症状は整骨院ではなく、まず医療機関へ
- 強い痛みや激しいしびれ:神経の圧迫・損傷の可能性がある
- 発熱・全身倦怠感を伴う痛み:感染症・炎症性疾患の可能性がある
- 排尿・排便の障害を伴う腰痛:馬尾症候群などの緊急性の高い疾患の可能性がある
- 原因不明の急激な体重減少を伴う痛み:悪性腫瘍の可能性がある
- 3ヶ月以上改善しない慢性的な痛み:専門医での精査が推奨される
症状に不安がある場合は、まず整形外科・内科などの医療機関を受診し、医師の診断を受けてください。整骨院での施術は医師の診察・治療と並行して行うことが可能ですが、重篤な疾患が疑われる場合は医療機関を優先してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 整骨院の保険適用にはどんな条件がありますか?
急性または亜急性の「外傷性の症状」であることが必須条件です。具体的には、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷(肉離れ)の5種類が対象です。「いつ・どこで・何をして受傷したか」が明確であることが求められます。慢性的な肩こり・腰痛・疲労・慰安目的のマッサージ・神経痛・リウマチ・五十肩などは保険適用外です。
Q2. 整骨院の保険適用で500円になるのはどんな場合ですか?
自己負担割合と施術料金の組み合わせで決まります。3割負担の場合、再診時に施術部位が少なければ400〜600円台になることが多く、500円前後になるケースもあります。1割負担(75歳以上の後期高齢者)の方は、施術料金が多少高くても200円以下になることが一般的です。「必ず500円」という固定額ではなく、施術内容・年齢・所得により変動します。
Q3. 慢性的な肩こりや腰痛は整骨院で保険が使えますか?
慢性的な肩こり・腰痛は、整骨院での保険適用対象外です。保険が適用されるのは「急性の外傷」に限られます。慢性症状のケアには自費施術となりますので、事前に料金を確認してください。なお、打撲・捻挫の後遺症として続く痛みは、経緯によって適用可否が判断されます。
Q4. 整骨院と整体院・マッサージ院の保険適用の違いは?
整骨院は柔道整復師(国家資格)が施術を行い、急性外傷に対して健康保険の適用が可能です。整体院は国家資格を要しないため保険適用はありません。あん摩マッサージ指圧師(国家資格)が施術するマッサージ院は、医師の同意があれば訪問マッサージとして保険適用されるケースがありますが、施術所での保険適用は一般的ではありません。
Q5. 骨折や脱臼でも整骨院で保険が使えますか?
はい、骨折・脱臼の応急処置は整骨院でも保険適用が可能です。ただし、継続的な施術を受ける場合は医師の同意が原則として必要です。骨折・脱臼が疑われる場合は、まず整形外科でレントゲン撮影などの精密検査を受け、医師の判断を仰いでください。
Q6. 保険証を持っていけばすぐ保険適用できますか?
保険証を持参すれば受領委任制度による保険適用の手続きは可能ですが、症状が保険適用の条件(急性外傷の5種類)に該当していることが前提です。受傷原因を正確に説明できるよう準備しておきましょう。保険適用外の症状の場合は全額自費となります。
Q7. 病院(整形外科)と整骨院を同時に受診しても保険は使えますか?
同じ症状・同じ部位について、病院と整骨院の両方で同時に保険適用を受けることは原則できません。どちらか一方を選択する必要があります。ただし、異なる症状・部位であれば別途判断されます。詳しくはご加入の健康保険組合にご確認ください。
まとめ:整骨院の保険適用を正しく活用するために
整骨院での保険適用については、以下のポイントを覚えておきましょう。
- 保険が適用される症状は「急性外傷(骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷)」のみ
- 自己負担割合は年齢・所得によって1〜3割と異なる
- 500円前後になるケースはあるが、固定額ではなく施術内容により変動する
- 「柔道整復師 保険適用」の受領委任制度を正しく理解することが大切
- 慢性症状・慰安目的・疾患由来の痛みは保険適用外
- 症状が重篤な場合はまず医療機関を受診する
整骨院を上手に活用することで、急性外傷のケアを経済的に受けることが可能です。ただし、正確な症状の把握と適切な選択が前提となります。施術前に料金・保険適用範囲を施術所に確認することをおすすめします。
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※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としています。診断・治療を行うものではありません。気になる症状や不調がある場合は、必ず医療機関で医師の診察を受けてください。施術料金・保険適用の詳細は各施術所および加入の保険者にご確認ください。
執筆者プロフィール
山﨑 駿(やまざき しゅん/Shun Yamazaki)
整体・マッサージ専門家 / 医療系コンテンツ執筆者
保有国家資格(計4種)
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
学位・国際資格
- ドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)
- CCEA(オーストラレーシア・カイロプラクティック教育審議会)認可校卒
- 国際基準カイロプラクター
所属・登録
- JCR(日本カイロプラクティック登録機構)認定カイロプラクター(厚生労働省指針準拠)
- オステオパシーメディスン協会 会員
- スティルアカデミージャパン(SAJ)在籍中・オステオパシー D.O. 専攻
臨床歴:12年(延べ数万人以上の施術実績)
PubMed等の最新医学論文を常に参照し、経験則だけに頼らない安全なケアを追求。西洋医学との統合医療を推進しています。
この記事の内容は、執筆者の専門的知識と12年の臨床経験に基づいています。症状が重篤な場合や不安がある場合は、必ず医療機関へご相談ください。