内臓疲労の回復法|だるさの症状・原因をオステオパシー専門家が解説

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LAST UPDATED: 2026-05-19

「なんとなくだるい」「胃腸の調子が悪い」「病院で検査しても異常がない」——そんな状態がずっと続いていませんか?
それは「内臓疲労」かもしれません。
この記事では、内臓疲労の症状・原因から、専門家によるケアのアプローチまで、わかりやすく解説します。

この記事のポイント:— この記事のポイント

  • 「内臓疲労」は正式な医学的診断名ではないが、内臓の機能低下による体全体の不調を指す体感ワードとして広く使われている
  • 主な原因は過食・アルコール・睡眠不足・ストレスなど生活習慣によるもの
  • 内臓と筋骨格系は深く連動しており、内臓の不調が腰痛・肩こりなどの運動器症状に影響する可能性がある(PMID: 38766590
  • 内臓マニピュレーション(内臓操作)を含む手技療法が、痛みや機能改善に寄与する可能性が研究で示唆されている(PMID: 31372099
  • 回復には生活習慣の見直しと専門家によるアプローチの組み合わせが有効と考えられている

監修:おひげ先生(山﨑駿)

柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師(国家資格4つ)/登録販売者(都道府県免許)
国際基準カイロプラクティック学位 D.C.(Doctor of chiropractic)
ディプロム・ド・オステオパシー(D.O.)取得予定(修学中)

所属:オステオパシー・メディスン協会/JCR認定カイロプラクター

日本工学院八王子専門学校 柔道整復科 卒業/東京呉竹医療専門学校 はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師科 卒業/TCC東京カレッジオブカイロプラクティック(旧RMIT ロイヤルメルボルン工科大学 カイロプラクティック科 日本校)卒業

体のふしぎと健康のことを多角的な視点で発信中。

→ 監修者プロフィール詳細はこちら

目次

「内臓疲労」とは何か

「内臓疲労」とは、病院で検査しても特定の病名がつかないにもかかわらず、胃腸の不快感・全身のだるさ・消化機能の低下などが続く状態を指す体感的な言葉です。

まず重要な点をお伝えします。

「内臓疲労」は、現時点では正式な医学的診断名ではありません。

胃炎・過敏性腸症候群・慢性疲労症候群など、類似した正式な疾患名が存在します。「なんとなくおかしい」という感覚があれば、まず医療機関での検査を受けることが大切です。

そのうえで、検査で異常が見つからなかった場合でも、内臓の機能低下や慢性的な負荷が体に影響している可能性があります。本記事では、そうした状態への向き合い方を専門家の視点からお伝えします。

内臓疲労の主な症状

次のような状態が続いていませんか?

症状カテゴリ 具体的な状態
消化器系 胃もたれ・お腹の張り・便秘・下痢・食欲不振
全身の疲労感 朝起きても疲れが取れない・だるさが続く
運動器系 腰痛・背中のだるさ・肩こり
自律神経系 気分の浮き沈み・睡眠の質が下がる・集中力の低下
免疫系 風邪をひきやすい・口内炎が繰り返す

これらの症状が重なって出ている場合、内臓への慢性的な負荷が背景にある可能性があります。

注意

上記の症状は、胃腸疾患・肝疾患・腎疾患・甲状腺疾患など、様々な病気のサインである可能性もあります。症状が続く場合は、必ず医療機関を受診してください

内臓疲労の原因:生活習慣との深い関係

内臓への負荷が蓄積する主な原因は、日常の生活習慣にあることが多いとされています。

食事・飲酒・喫煙

アルコールは肝臓・胃・腸に継続的な負荷をかけます。過度の喫煙は胃粘膜の血流を悪化させ、消化機能に影響することが知られています。過食・早食い・高脂肪食の継続も、消化器系の負担要因になります。

睡眠不足・ストレス

自律神経(※)の乱れは消化管の動きに直結します。睡眠不足が続くと消化吸収の効率が下がり、腸内環境が悪化することが示唆されています。

※自律神経:意識とは無関係に内臓・血管・腺などを調節する神経系。交感神経(活動時)と副交感神経(休息時)の2系統からなる。

運動不足

適度な運動は腸の蠕動運動(ぜんどう運動:腸が波打つように食べ物を送り出す動き)を促します。運動不足が続くと腸の動きが低下し、便秘・腹部膨満・腰部への負担増加につながることがあります。

内臓と体の不調はなぜ連動するのか

「腰が痛いのに、内臓に関係があるの?」と思われるかもしれません。実は、内臓と筋骨格系はつながりが深いことが、複数の研究で示されています。

内臓マニピュレーション(vOMT)に関する研究

vOMT(Visceral Osteopathic Manual Therapy:内臓オステオパシー手技療法)とは、腹部の内臓に直接アプローチし、その動きや機能の回復を図る専門的な手技療法です。

Altınbilek らの多施設ランダム化比較試験(2023年)では、慢性腰痛患者86名を対象に「物理療法+vOMT群」と「物理療法+偽処置群」を比較した結果、vOMT群で痛み・抑うつ・機能障害のいずれにおいても有意な改善が報告されています(PMID: 38766590)。

またSantos らの二重盲検ランダム化比較試験(2019年)では、慢性腰痛と内臓機能不全を有する患者において、vOMTを加えた群で腰椎可動性と特定機能に有意な改善が見られ、その効果は治療終了1週間後も維持されたことが示唆されています(PMID: 31372099)。

さらにFernandes らのRCT(2023年)では、機能性便秘(※)と慢性腰痛を併有する患者76名を対象とした結果、vOMT群で6週間後・3ヶ月後の両時点で疼痛強度と機能障害の有意な改善が報告されています(PMID: 37301564)。

※機能性便秘:器質的な病変がなく、腸の機能的な問題から生じる便秘。

相関と因果関係について
上記の研究はvOMTと改善の関連を示すものですが、すべての方に同様の効果が保証されるものではありません。効果には個人差があります。

CLINICAL VOICE — 臨床現場から

「腰が痛い、肩が痛い」といった方が来られるのですが、お腹を触ってみると、お腹が張っていたり、動きがなくなっていたりする方が少なくありません。

そういった方に、筋骨格系の問題だけでなく、食事や胃腸の状態、お酒やタバコについてもお聞きするようにしています。すると「お酒をよく飲みます」「そういえば胃腸の調子が悪いことがある」といった内臓の不調が出てくることがよくあります。

腰や肩の痛みという訴えの背景に、内臓への慢性的な負荷が隠れているケースは、臨床の場では決して珍しくありません。

— おひげ先生(山﨑駿)|柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・D.C.

内臓疲労の回復方法・治し方

内臓疲労の状態から回復するには、生活習慣の見直しと必要に応じた専門家のアプローチを組み合わせることが有効と考えられています。

1. 食事の見直し

消化器系への負荷を減らすことが基本です。

  • 食べ過ぎ・早食いを避ける:一口30回を目安にゆっくり噛む
  • アルコールを控える:休肝日を週2日以上設ける目安が推奨されている
  • 食物繊維を増やす:野菜・豆類・海藻・きのこは腸内環境のサポートに
  • 脂質・糖質の過剰摂取を抑える:揚げ物・甘いものの頻度に注意する
  • 発酵食品を取り入れる:ヨーグルト・味噌・納豆・ぬか漬けなどが腸内フローラ(腸内に住む細菌の群)の多様性に寄与する可能性がある

2. 睡眠の質を上げる

  • 就寝2〜3時間前の食事・飲酒を控える(胃腸の負荷が睡眠の深さに影響する可能性がある)
  • 就寝前のスマートフォン・PCの光刺激を避ける
  • 毎日同じ時間に起床・就寝する習慣をつける

3. 適度な運動

  • ウォーキング(1日20〜30分)は腸の蠕動運動を促すことが報告されている
  • 腹式呼吸(お腹を大きく膨らませて鼻から吸い、ゆっくり口から吐く)は横隔膜(肺と腹部を仕切る筋肉)の動きを高め、内臓への刺激に寄与する可能性がある
  • 強度の高い運動は内臓への血流を一時的に下げることがあるため、疲弊期は軽めの運動から始める

4. ストレス管理

  • マインドフルネス(今この瞬間に意識を向ける瞑想的な実践)やゆっくりとした入浴で副交感神経を優位にする
  • 信頼できる人に話す・日記に書くなど、感情の外在化も有効

5. 専門家によるアプローチ(内臓マニピュレーション)

セルフケアだけで改善しない場合や、腰痛・背部痛などの運動器症状が重なっている場合は、専門家によるアプローチを検討することが選択肢のひとつです。

前述のPubMed掲載研究が示すように、vOMTはいくつかの研究で腰痛改善・機能向上への寄与が報告されています。ただし施術者の技術・患者さんの状態によって結果は異なり、すべての方に同様の効果を保証するものではありません。

CLINICAL VOICE — 内臓の触診とは

内臓というのは、お腹の中でぷかぷか浮いているような状態が本来の理想です。内臓の周りは膜のようなもので覆われており、それによって栄養の補給や保護がなされています。

ところが、便秘がある方のお腹を触ると、腸が硬く感じられます。消化されずに滞った内容物が腸壁を緊張させているからです。

また、胃の不快感や胃下垂(胃が本来より低い位置に垂れ下がった状態)がある方では、胃の出口付近の筋肉や横隔膜の動きが悪くなっており、その結果としてお腹が張ったような状態が生じることがあります。

内臓が本来の「浮いている状態」を取り戻すことが、全身のケアにとって大切な要素のひとつだと考えています。

— おひげ先生(山﨑駿)|柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・D.C.

専門家の視点:「体は一つのユニット」という考え方

腰の痛み、肩の痛み、背中のだるさ——これらを「その部位だけの問題」として捉えると、根本にあるものを見落とすことがあります。

オステオパシー(※)の哲学では、「体は一つのユニット」として機能すると考えます。腰の前側には内臓や骨盤内臓器があり、それらが慢性的に緊張・疲労していると、周囲の筋肉・筋膜(筋肉を包む薄い膜)・関節に影響が及ぶことがあります。

※オステオパシー:骨格・筋肉・内臓・神経など全身の構造と機能の関係を重視し、手技療法を中心としたアプローチで体の自然治癒力をサポートする医学体系。

SPECIALIST NOTE — 専門家所見

腰痛・肩痛・背中の痛みでいらっしゃる方は多いのですが、体は一つのユニットであり、筋肉や関節だけの問題ではないことが多くあります。

腰の前側には内臓や骨盤内臓器があります。痛みがある場所だけでなく、原因が全く別のところに潜んでいるケースは、臨床では非常によく見られます。

そして、いくら丁寧なアプローチをしても、食事・睡眠・運動といった生活習慣が変わらなければ、悩みが根本から改善されないことがあります。専門家によるケアと、ご自身の生活習慣の見直しを一緒に進めていくことが大切だと、12年の臨床経験を通じて感じています。

— おひげ先生(山﨑駿)|柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・D.C.

Tamer らの研究(2017年)でも、内臓マニピュレーションを含む手技療法が慢性腰痛患者のQOL(生活の質)において、特にエネルギーと身体機能の面で有意な改善と関連したことが報告されています(PMID: 27858681)。

この研究が示唆するのは、「内臓にアプローチすることが、全身の機能に寄与する可能性がある」ということです。相関関係と因果関係を厳密に分けると、まだ証明が積み上がっている段階であることは事実ですが、専門家との継続的な関わりの中で生活習慣と手技療法を組み合わせることは、合理的な選択肢のひとつと言えます。

免責事項
本記事の内容は、特定の疾患の診断・治療を目的とするものではありません。症状が続く場合は、必ず医師・医療機関にご相談ください。内臓疲労という言葉は体感的な表現であり、医学的診断名とは異なります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 内臓疲労は病気ですか?

内臓疲労は現在のところ正式な医学的診断名ではありません。類似した状態として、過敏性腸症候群・機能性ディスペプシア(胃に器質的な異常がないのに胃痛・胃もたれが続く状態)・慢性疲労症候群などが存在します。気になる症状が続く場合は、まず医療機関で検査を受けることをおすすめします。

Q2. 病院で「異常なし」と言われたが体がだるい、こんな時はどうすればいいですか?

検査で異常が見つからなくても、内臓への慢性的な負荷が続いている可能性があります。食事・睡眠・運動・ストレスといった生活習慣を見直すことが出発点です。改善しない場合は、別の医療機関でのセカンドオピニオンや、オステオパシー・整体などの専門家への相談も選択肢になります。

Q3. マッサージや整体で内臓疲労は改善できますか?

内臓マニピュレーション(vOMT)を含む手技療法については、腰痛・機能改善への寄与を示す複数の研究があります(PMID: 38766590, 31372099, 37301564)。ただし「内臓疲労そのものが改善する」とは断言できません。施術は医師による治療の代替ではなく、生活習慣改善と医療機関での検査を前提としたうえでの補完的なアプローチとして捉えてください。

Q4. 内臓疲労の回復にはどのくらいかかりますか?

個人差があります。軽度の生活習慣による内臓疲労であれば、食事・睡眠の改善を続けることで数週間〜数ヶ月で変化を感じる方もいます。慢性化している場合や運動器症状を伴う場合は、専門家との継続的な関わりが重要です。「3〜6ヶ月の継続」を視野に入れることが現実的です。

Q5. 自分でできるセルフケアは何がありますか?

次の3点から始めることを推奨します。

  1. 腹式呼吸(1日5分、横になりながらお腹を意識して深呼吸する)
  2. 朝の白湯(100〜150ml)で胃腸を穏やかに起こす
  3. 就寝前2時間の食事を控える(消化器系を休ませるため)

これらは医療行為ではなく、生活習慣の調整として取り組めるものです。

Q6. 病院に行くべきタイミングはいつですか?

次のいずれかに当てはまる場合は、速やかに医療機関を受診してください。

  • 黒い便・血便が出る
  • 体重が短期間で急激に減った
  • 強い腹痛が続く
  • 発熱・黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)がある
  • 飲食がほとんどできない状態が続く

これらは消化器系の重大な疾患のサインである可能性があります。

監修者コメント

「体全体を一つのユニットとして見る」という視点は、私がオステオパシーの学びを通じて深く腑に落ちた考え方です。

腰痛や肩こりを訴える方のお腹を触ると、内臓の張りや動きのなさが見つかることがあります。筋骨格系だけに注目していては気づけないことです。

最新の研究論文を参照しながら、生活習慣のご指導と手技療法を組み合わせていくことで、健康意識そのものが変わっていく方を多く拝見してきました。

「専門家のアプローチ」と「ご自身の生活習慣の見直し」は、両輪です。どちらが欠けても、根本的なところに届きにくくなります。この記事が、ご自身の体を見つめ直すきっかけになれば幸いです。

— おひげ先生(山﨑駿)
柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師(国家資格4つ)
ドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)CCEA認可・JCR認定
ディプロム・ド・オステオパシー(D.O.)取得予定(修学中)

利害相反の開示

本記事の監修者はオステオパシー・整体施術に関わる専門家です。本記事は特定のサービス・商品・施設への誘導を目的とするものではなく、一般的な情報提供を目的として作成されています。

※個人の感想です。効果には個人差があります。

参考文献

内臓マニピュレーションと運動器症状に関する研究

  1. Altınbilek T, et al. “Evaluation of effectiveness of osteopathic visceral manipulation in patients with chronic mechanical low back pain: A multi-center, single-blind, randomized-controlled study.” Turkish Journal of Physical Medicine and Rehabilitation, 2023. PMID: 38766590
  2. Santos LV, et al. “Active Visceral Manipulation Associated With Conventional Physiotherapy in People With Chronic Low Back Pain and Visceral Dysfunction: A Preliminary, Randomized, Controlled, Double-Blind Clinical Trial.” Journal of Chiropractic Medicine, 2019. PMID: 31372099
  3. Fernandes WVB, et al. “Effect of osteopathic visceral manipulation for individuals with functional constipation and chronic nonspecific low back pain: Randomized controlled trial.” Journal of Bodywork and Movement Therapies, 2023. PMID: 37301564
  4. Tamer S, et al. “The effect of visceral osteopathic manual therapy applications on pain, quality of life and function in patients with chronic nonspecific low back pain.” J Back Musculoskelet Rehabil, 2017. PMID: 27858681

監修者プロフィール

おひげ先生(山﨑 駿)

SHUN YAMAZAKI

  • 柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師(国家資格4つ)
  • 登録販売者(都道府県免許)
  • 国際基準カイロプラクティック学位 ドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)CCEA認可・JCR認定
  • ディプロム・ド・オステオパシー(D.O.)取得予定(修学中)
  • オステオパシー・メディスン協会 会員

学歴
日本工学院八王子専門学校 柔道整復科 卒業
東京呉竹医療専門学校 はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師科 卒業
TCC東京カレッジオブカイロプラクティック(旧ロイヤルメルボルン工科大学日本校カイロプラクティック)卒業
スティルアカデミージャパン(SAJ)在籍中 / オステオパシー D.O. 専攻

体のふしぎと健康のことを多角的な視点で発信中。

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この記事を書いた人

鍼灸あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師。国際基準カイロプラクター(D.C.)・ディプロムドオステオパシー(D.O.)取得予定。日本工学院八王子専門学校 柔道整復科 卒業/東京呉竹医療専門学校 はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師科 卒業/TCC東京カレッジオブカイロプラクティック(旧ロイヤルメルボルン工科大学日本校カイロプラクティック)卒業。PubMed論文・公的機関情報を引用しながら、骨格・神経・内臓・栄養を統合した視点で健康情報を発信しています。

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