プロテインの選び方を柔道整復師が解説【種類・飲み方・注意点まとめ】
目次
- そもそもプロテインは必要か?食事だけで足りないケースを整体師が整理
- プロテインの種類を比較|ホエイ・ソイ・カゼインそれぞれの特徴と向いている人
- 目的別の選び方|筋力アップ・ダイエット・高齢者(サルコペニア予防)
- 飲むタイミングと量の基本|運動前後・就寝前・朝食時の違い
- プロテインでお腹の不調が出る人へ|乳糖不耐症・消化不良の原因と対処法
- 飲みすぎ・過剰摂取のサインと腎臓・肝臓への影響|専門家が見る危険域
- 女性がプロテインを飲むときの注意点|イソフラボンとホルモンへの影響
- 腰痛・肩こり・慢性痛持ちとプロテインの関係|タンパク質不足が痛みに影響する
- 鍼灸・マッサージ後にプロテインを飲む理由|施術と栄養補給の相乗効果を整体師が解説
そもそもプロテインは必要か?食事だけで足りないケースを整体師が整理
タンパク質は何をするのか
タンパク質(プロテイン)は、筋肉・骨格・皮膚・髪・爪・ホルモン・酵素・免疫細胞など、体のあらゆる組織の材料になる栄養素です。毎日少しずつ分解と合成が繰り返されており、食事から継続して補給しなければ体の維持が難しくなります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人が推奨される1日のタンパク質摂取量を男性65g・女性50g(18〜49歳の目安)としていますが、運動をする人・高齢者・筋肉量を増やしたい人にとってはこの量では不足するケースが少なくありません。
「食事だけで足りる」のは理想的なケースに限られる
鶏むね肉100gにはタンパク質が約23g含まれています。一方、コンビニのおにぎり・カップ麺・パスタといった食事が中心の場合、1食あたりのタンパク質は10g前後にとどまることも珍しくありません。1日3食を食べていても、食材の組み合わせと量によっては必要量に届かないのが現実です。
特に以下のような状況では不足リスクが上がります。
- 食欲が落ちやすい高齢者
- 食事量を意図的に制限しているダイエット中の方
- 週に3回以上の運動習慣がある方
- 外食・中食が多く、タンパク質が偏りがちな方
プロテインはあくまで「補助食品」
プロテインは医薬品ではなく、あくまでタンパク質を補うための食品です。食事が乱れたまま粉末に頼るのは本末転倒で、まずは食事の土台を整えることが優先です。その上で「食事だけでは必要量を安定して摂りにくい」場面に、プロテインが有効な手段のひとつとなります。
プロテインの種類を比較|ホエイ・ソイ・カゼインそれぞれの特徴と向いている人
| 項目 | ホエイ | ソイ | カゼイン |
|---|---|---|---|
| 原料 | 牛乳(乳清) | 大豆 | 牛乳(カード) |
| 吸収速度 | 速い(30〜60分) | 中程度 | 遅い(数時間持続) |
| 乳糖 | 含む(WPIは少) | 含まない | 含む |
| 筋合成促進 | 最も高い傾向(研究報告) | カゼインより高い傾向 | 緩やか・持続的 |
| おすすめ用途 | 運動後・筋力アップ | ダイエット・乳製品NG | 就寝前・長時間補給 |
| 主な注意点 | 乳糖不耐症に注意 | イソフラボン含有 | 溶けにくい製品多め |
ホエイプロテイン(動物性・牛乳由来)
ホエイは、チーズを製造する際に出る牛乳のうち水分(乳清)から抽出されるタンパク質です。消化吸収が速く、摂取後の血中アミノ酸濃度が急速に上昇することが特徴です。
2009年にフィリップスらが発表した研究(PubMed ID: 19589961)では、ホエイ・カゼイン・ソイの3種類を比較した結果、安静時および運動後のいずれにおいても、ホエイプロテインが混合筋タンパク質合成を最も高める傾向が報告されています。特に運動直後の「アナボリックウィンドウ(筋合成が活性化しやすい時間帯)」に適した選択肢とされています。
向いている人:筋力トレーニングをしている方、運動後の回復を重視する方、動物性タンパク質を摂りやすい方
注意点:乳糖(ラクトース)を含むため、乳糖不耐症の方はお腹がゆるくなりやすい場合があります。WPI(ホエイ・プロテイン・アイソレート)タイプは乳糖が少なく対応しやすいことも報告されています。
カゼインプロテイン(動物性・牛乳由来)
カゼインも牛乳由来ですが、ホエイとは異なり消化吸収がゆっくりと進みます。胃の中でゲル状に固まる性質があり、血中アミノ酸濃度を緩やかに、かつ長時間にわたって維持します。就寝前に摂ることで、睡眠中の筋タンパク質分解(異化)を抑える可能性が示唆されており、筋量を維持したいアスリートや高齢者に注目されています。
向いている人:就寝前に栄養補給したい方、長時間の満腹感を得たい方、分食が難しい方
注意点:乳糖を含むこと、ホエイより溶けにくい製品が多いことに留意が必要です。
ソイプロテイン(植物性・大豆由来)
大豆を原料とする植物性プロテインです。乳糖を含まないため、乳製品が苦手な方でも摂取しやすい選択肢です。先述のフィリップスら(2009年)の研究では、カゼインよりも筋タンパク質合成を促進する傾向が報告されていますが、ホエイと比較すると急性期の筋合成速度はやや低い傾向も示唆されています。大豆にはイソフラボンが含まれており、植物性エストロゲン(ファイトエストロゲン)として作用する可能性があります。
向いている人:乳製品が摂れない方、ベジタリアン・ヴィーガンの方、コレステロールが気になる方
詳しくは「ホエイ・ソイ・カゼイン徹底比較」をご覧ください。
目的別の選び方|筋力アップ・ダイエット・高齢者(サルコペニア予防)
筋力を高めたい場合には、筋タンパク質合成を効率よく促す「必須アミノ酸(EAA)」、特に「ロイシン」の含有量が高いプロテインが適しています。ホエイプロテインはロイシン含有量が高く、運動後の筋合成促進に活用されやすいことが複数の研究で示唆されています(Tang et al., 2009. PubMed ID: 19589961)。
ポイント:プロテインだけを増やしても筋肉は増えません。抵抗運動(筋力トレーニング)との組み合わせが前提です。
タンパク質は三大栄養素のなかで最も「食後の満腹感(食物の熱産生)」が高い栄養素とされており、適切なタンパク質摂取はカロリーコントロールの補助になる可能性が示唆されています。ダイエット中は筋肉量が落ちやすいため、意識的にタンパク質を補うことで除脂肪体重の維持が期待されます。
おすすめ:ソイプロテインはカロリーが比較的低く、脂質・糖質の量が少ない製品が多い傾向にあります。
サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量と筋力の低下を指します。日本では65歳以上の方の一定割合にサルコペニアが認められると報告されており、転倒・骨折・フレイル(虚弱)のリスク要因として注目されています。
Liらが2024年に発表したシステマティックレビュー・メタアナリシス(PubMed ID: 38350303)では、1,154人を対象とした10本のランダム化対照試験を解析した結果、ホエイプロテインの補給がサルコペニアの高齢者の筋肉量・筋力・歩行速度の改善に寄与する傾向が報告されています。また、炎症マーカーの低下と栄養状態の向上も認められたとされています。
目安:高齢者の場合、1日あたり体重1kgにつき1.2〜1.5g程度のタンパク質摂取が推奨されるという見解があります(Evans et al., 2012. PubMed ID: 23131547)。
詳しくは「ダイエット向けプロテインの選び方」・「高齢者のサルコペニア予防とプロテイン」をご覧ください。
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タイプ別 プロテインの代表例
定番のホエイ(WPC)。筋力アップ・運動後の補給に
WPI&WPC・人工甘味料不使用。品質にこだわる方に
乳糖約99%カット。プロテインでお腹がゆるくなりやすい方に
ソイ(植物性)。女性・ダイエット中の方に
※いずれも食品であり、医薬品ではありません。パッケージの摂取目安量を守ってお使いください。体質や体調により合わない場合があり、感じ方には個人差があります。持病のある方・服薬中の方・妊娠中や授乳中の方は、医師や薬剤師にご相談ください。
飲むタイミングと量の基本|運動前後・就寝前・朝食時の違い
運動後30〜60分以内(ゴールデンタイム)
運動直後は筋タンパク質合成のシグナルが高まりやすいとされており、このタイミングでのタンパク質補給が筋回復・筋合成の効率化に関連する可能性が複数の研究で示唆されています(Hartono et al., 2022. PubMed ID: 35113389)。特に消化吸収の速いホエイプロテインは、運動後のタイミングに活用されることが多い選択肢です。一般的に1回20〜30g程度を目安とする考え方が広く用いられていますが、体格・運動強度・食事内容によって適量は異なります。
就寝前(カゼインが有利な場面)
睡眠中は成長ホルモンの分泌が増加し、体の修復・合成が進みやすい時間帯とされています。このタイミングにカゼインプロテインを摂ることで、血中アミノ酸濃度が緩やかに維持され、睡眠中の筋タンパク質分解を抑制できる可能性が示唆されています。ただし、就寝直前の過剰なカロリー摂取は睡眠の質に影響する可能性もあるため、量は控えめ(10〜20g程度)が目安になる場合が多いとされています。
朝食時(タンパク質不足を補う)
朝食は3食のなかで最もタンパク質が不足しがちな食事です。パンとコーヒーだけ、おにぎりだけといった朝食パターンではタンパク質がほとんど摂れないケースも多く見られます。朝食にプロテインを1杯加えるだけで、1日のタンパク質摂取量を安定させやすくなります。
タイミングの最適化は大切ですが、研究が一貫して示唆しているのは「1日の総タンパク質量」が最も大きな影響を持つという点です。運動をしている成人であれば体重1kgあたり1.4〜2.0g程度が目安とする考え方が多く見られますが、個人の体格・運動量・健康状態によって適量は異なります。
詳しくは「プロテインを飲む最適なタイミングと量」をご覧ください。
プロテインでお腹の不調が出る人へ|乳糖不耐症・消化不良の原因と対処法
プロテインでお腹がゆるくなる主な原因
プロテインを飲み始めた後にお腹の不調(下痢・ガス・腹痛)を感じる方は少なくありません。主な原因として以下のことが考えられます。
1. 乳糖不耐症(ラクトース不耐症)
ホエイプロテインやカゼインプロテインには乳糖が含まれています。乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」の働きが弱い場合、乳糖が消化されないまま大腸に届き、腸内細菌に発酵されてガスや水分増加を引き起こすことがあります。日本人は欧米人と比較してラクターゼ活性が低い傾向があるとされており、乳製品でお腹が不調になりやすい方は多いと報告されています。
2. 一度に大量のタンパク質を摂取した場合
消化器官のキャパシティを超えた量のタンパク質を一度に摂ると、消化が追いつかず腸に負担がかかることがあります。
3. 人工甘味料・添加物への反応
製品によっては、大量の人工甘味料(スクラロース・アセスルファムKなど)が添加されており、これが腸への刺激となる場合があります。
対処法
| 原因 | 対処の方向性 |
|---|---|
| 乳糖不耐症の疑い | WPIタイプ(乳糖除去)またはソイ・ピープロテインに切り替える |
| 量が多すぎる | 1回量を減らして分けて摂る(1回15〜20g以内を試す) |
| 人工甘味料の問題 | 添加物の少ないシンプルな製品を選ぶ |
| 消化機能が低下している | 食事と一緒に摂る・消化酵素(酵素サプリ)を併用する |
タンパク質の過剰摂取は、腸内で腐敗発酵を促進し、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)のバランスに影響する可能性も示唆されています。プロテインを増やす際は、同時に食物繊維(野菜・豆類・海藻など)の摂取も意識することが腸内環境の観点から望ましいと考えられます。
詳しくは「プロテインでお腹が痛い・乳糖不耐症の方への対処法」をご覧ください。
飲みすぎ・過剰摂取のサインと腎臓・肝臓への影響|専門家が見る危険域
「プロテインの飲みすぎ」はどの状態か
「プロテインを飲みすぎると腎臓に悪い」という話を耳にしたことがある方も多いでしょう。結論からいうと、健康な腎機能を持つ成人が通常の運動量に見合った量のプロテインを摂取する場合、腎臓への影響は現時点では限定的とする見解が多くの研究で示されています。一方で、慢性腎臓病(CKD)や腎機能に不安のある方は、高タンパク食が腎臓への負荷を増大させる可能性があるとされており、注意が必要です。
過剰摂取が示唆される状態
- 慢性的な消化不良・腹部膨満感
- 口臭(アンモニア臭)が強くなった
- 体重・体脂肪が増加傾向にある(カロリー過多)
- むくみが気になる
- 倦怠感・疲労感が続く
※これらは過剰摂取との因果関係が必ずしも明確ではなく、他の要因も考えられます。「量・タイミング・食事全体のバランス」を見直すきっかけとしてご参考ください。
肝臓への影響
肝臓はタンパク質の代謝に関与しており、アミノ酸の分解・尿素サイクル(アンモニアを尿素に変換する仕組み)の主要な場でもあります。肝機能が低下している方や肝疾患を持つ方は、高タンパク食が肝臓への負荷を増大させる可能性があるとされており、摂取量については医師への確認が望ましいケースがあります。
現実的な「危険域」とは
1日あたり体重1kgにつき3g以上(例:体重70kgで210g以上)を長期間継続するような極端なケースが、研究上で影響が懸念される範囲とされることがあります。一般的なトレーニーが1日2〜3杯のプロテインを飲む程度であれば、食事由来のタンパク質と合算しても多くの場合は安全域内とみなされることが多いようです。ただし個人差があるため、体調の変化に敏感であることが大切です。
詳しくは「プロテインの飲みすぎと腎臓・肝臓への影響」をご覧ください。
女性がプロテインを飲むときの注意点|イソフラボンとホルモンへの影響
ソイプロテインとイソフラボン
ソイプロテインには「イソフラボン」という成分が含まれています。イソフラボンは「ファイトエストロゲン(植物性エストロゲン)」とも呼ばれ、女性ホルモン(エストロゲン)に類似した構造を持ちます。この性質から、「ソイプロテインを飲むと女性ホルモンが乱れる」という懸念が語られることがありますが、食品として通常の量を摂取する範囲では、内分泌(ホルモン)系に臨床的に有意な影響を与えるという明確なエビデンスは現時点では確立されていません。
既に治療を受けているホルモン依存性の疾患(例:子宮内膜症・乳腺疾患など)をお持ちの方は、主治医に相談した上で摂取量を判断することが望ましいとされています。
月経周期・骨密度との関連
イソフラボンは骨密度の維持に寄与する可能性が複数の研究で示唆されており、閉経後の女性における骨量減少の予防効果を検討した研究も報告されています。ただし、これらの研究では「関連性の示唆」にとどまるものが多く、因果関係の確立には至っていないものもあります。
摂取量の上限の考え方
食品安全委員会(日本)は、大豆イソフラボンの安全な一日摂取量の目安を70〜75mgと示しています(食品として摂取される分を含む)。プロテインシェイクを1〜2杯飲む程度であれば多くの場合この目安内に収まる可能性が高いですが、大豆食品(豆腐・納豆・豆乳など)を多く食べている方が高濃度のソイプロテインを追加で大量摂取する場合は、合計量への注意が望ましいといえます。
女性のダイエット・体型維持とプロテイン
女性がダイエット中にタンパク質を十分に摂ることは、筋肉量の維持・基礎代謝の低下防止という観点から重要とされています。ソイプロテインはカロリーが低めで脂質が少ない製品が多く、ホエイの乳糖が気になる方の代替としても活用されやすい選択肢です。
詳しくは「ソイプロテインとホルモンバランス・女性の注意点」をご覧ください。
腰痛・肩こり・慢性痛持ちとプロテインの関係|タンパク質不足が痛みに影響する
12年の臨床経験のなかで、慢性的な腰痛や肩こりを訴える方の食事を聞くと、タンパク質の摂取量が明らかに少ないと感じるケースが少なくありません。
筋肉・腱・靭帯・軟骨・椎間板(背骨のクッション)はいずれもタンパク質を主成分とする組織です。これらの組織は常に微細な損傷と修復のサイクルを繰り返しており、修復の材料となるタンパク質が慢性的に不足すると、組織の再生が追いつかない状態が続く可能性があります。
Pernaら(2020年、PubMed ID: 32155760)の系統的レビューでは、筋骨格系の慢性痛を持つ患者に対して「体重1kgあたり1g以上のタンパク質」を毎日摂取することが、疼痛管理における栄養学的介入の基本として推奨されていることが報告されています。
コラーゲンとしてのタンパク質の役割
体内のタンパク質の約1/3はコラーゲンが占めており、椎間板・軟骨・靭帯・腱のすべてにコラーゲン線維が豊富に存在します。タンパク質・ビタミンC・亜鉛などの栄養素が不足すると、コラーゲン合成が低下し、組織の弾力性や修復力が落ちる可能性が示唆されています。
腰痛の方の食事指導において、プロテインを含む充分なタンパク質摂取を意識してもらうと、身体の動かしやすさに変化を感じる方がいるという臨床的な印象を持っています(個人差があります)。
カイロプラクティックでは、脊柱のアライメント(骨格の並び)と神経機能の最適化を重視します。椎間板や周辺組織の変性は、椎間板内圧の異常・神経への圧迫・筋筋膜の緊張といった形で慢性痛に関与する可能性があります。
このような状態にある方に対して、施術による構造的アプローチと同時に、組織修復を支える栄養面(タンパク質・抗酸化栄養素・オメガ3脂肪酸など)を整えることが、より包括的なケアにつながると考えています。施術を受けながら、食事面でもタンパク質を意識的に摂ることは、回復をサポートする可能性があります。
痛みの閾値(痛みの感じやすさ)と栄養
研究によれば、繊維筋痛症(線維筋痛症)を持つ患者において、タンパク質の摂取量と痛みの閾値(どれくらいの刺激で痛みを感じるか)の間に正の関連が示唆されているという報告があります(Perna et al., 2020)。痛みの感受性には中枢神経系の感作(神経が過敏になること)も関与しており、栄養だけがすべてではありませんが、タンパク質が痛み体験に影響する可能性があることは注目に値します。
詳しくは「腰痛とタンパク質不足の関係」をご覧ください。
鍼灸・マッサージ後にプロテインを飲む理由|施術と栄養補給の相乗効果を整体師が解説
鍼灸・マッサージ・整体の施術後、体はどのような状態になるでしょうか。施術後には以下の変化が起きると考えられます。
- 筋肉の血流が増加し、酸素・栄養素の供給が高まる
- 筋繊維の微細な損傷(運動後と同様の反応)が一部で起きる
- リンパ液や組織液の循環が促進される
- 自律神経が副交感神経優位になり、体の修復モードに入りやすくなる
これらの変化は「施術によって組織の修復と再生が促される状態」ともいえます。この状態で修復材料となるタンパク質(アミノ酸)が体内に豊富にあれば、組織の回復が効率よく進む可能性が考えられます。
鍼灸・マッサージと筋タンパク質合成
マッサージや施術による物理的刺激が筋タンパク質合成シグナルを活性化する可能性については、まだ研究が進んでいる段階ですが、施術後の血流増加と組織への栄養素輸送の改善は、アミノ酸の筋肉への供給効率を高める可能性があります。
筋力トレーニング後にプロテインを摂ることで筋タンパク質合成が促進されるというエビデンス(Hartono et al., 2022. PubMed ID: 35113389)と同様の論理で、「施術後に体の修復モードが高まっているタイミングでタンパク質を補給する」という考え方は、統合医療の視点から理にかなっている可能性があります。
整体師・鍼灸師としての実践的な考え方
私自身のアプローチとして、施術後の患者さんには以下をお伝えすることがあります。
柔道整復師・鍼灸師・D.C.(CCEA認可のカイロプラクター)として、「骨格のアライメント」「神経の機能」「筋肉・筋膜のバランス」「栄養状態」はすべて相互に関連していると考えています。
施術は体の構造的な問題にアプローチする手段ですが、組織が修復される「材料」がなければ回復には限界があります。逆に、どれだけ良質な食事・サプリメントを摂っていても、骨格のアライメントが崩れていたり神経の伝達に問題があれば、体の潜在的な回復力を十分に発揮しにくい状態が続くことがあります。施術と栄養の相乗効果を意識することが、より本質的なウェルビーイング(健康と幸福)への道につながると考えています。
詳しくは「鍼灸・マッサージ後にプロテインを飲む効果と理由」をご覧ください。
まとめ
- プロテインは食品であり、食事の補助手段。食事の基本を整えた上で活用することが大前提
- 種類の選び方の目安:運動後の筋合成促進にはホエイ、乳製品が苦手な方や植物性を選びたい方にはソイ、就寝前の緩やかな補給にはカゼインが活用されやすい
- 目的によって最適解は異なる:筋力アップ・ダイエット・サルコペニア予防ではそれぞれ向いているタイプと量が変わる
- タイミングより総摂取量が優先。まず1日に必要な量を安定して摂ることが基本
- お腹の不調には乳糖不耐症や人工甘味料が関与している可能性があり、製品の見直しで改善できる場合がある
- 腎臓・肝臓への影響は健康な方の通常使用では現時点では限定的とする見解が多いが、疾患がある方は医師への確認が必要
- 慢性痛・腰痛持ちの方は特にタンパク質不足に注意。組織修復の材料を意識的に補うことが回復をサポートする可能性がある
- 施術後のプロテイン補給は組織修復モードとの相乗効果が期待できる可能性があり、統合医療の視点から注目されている
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・診療行為を代替するものではありません。記載された内容は個人差があり、すべての方に同様の効果や結果をお約束するものではありません。体調に不安がある場合、疾患をお持ちの場合、または薬を服用中の場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
筋タンパク質合成・プロテイン種類比較
- Tang JE, Moore DR, Kujbida GW, Tarnopolsky MA, Phillips SM. “Ingestion of whey hydrolysate, casein, or soy protein isolate: effects on mixed muscle protein synthesis at rest and following resistance exercise in young men.” J Appl Physiol. 2009. PubMed ID: 19589961
- Hartono FA, Martin-Arrowsmith PW, Peeters WM, Churchward-Venne TA. “The Effects of Dietary Protein Supplementation on Acute Changes in Muscle Protein Synthesis and Longer-Term Changes in Muscle Mass, Strength, and Aerobic Capacity in Response to Concurrent Resistance and Endurance Exercise in Healthy Adults: A Systematic Review.” Sports Med. 2022. PubMed ID: 35113389
サルコペニア・高齢者
- Li ML, Zhang F, Luo HY, Quan ZW, Wang YF, Huang LT, Wang JH. “Improving sarcopenia in older adults: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials of whey protein supplementation with or without resistance training.” J Nutr Health Aging. 2024. PubMed ID: 38350303
- Evans WJ, Boccardi V, Paolisso G. “Perspective: Dietary protein needs of elderly people: protein supplementation as an effective strategy to counteract sarcopenia.” J Am Med Dir Assoc. 2012;14(1):67-9. PubMed ID: 23131547
慢性痛・筋骨格系栄養
- Perna S, et al. “Evidence-Based Role of Nutrients and Antioxidants for Chronic Pain Management in Musculoskeletal Frailty and Sarcopenia in Aging.” Geriatrics (Basel). 2020. PubMed ID: 32155760
執筆者プロフィール
山﨑 駿(やまざき しゅん / Shun Yamazaki)
| 国家資格 | 柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師 |
|---|---|
| 学位 | D.C.(カイロプラクティック・ドクター、CCEA認可) |
| 所属 | JCR認定カイロプラクター・オステオパシー・メディスン協会会員 |
| 都道府県免許 | 登録販売者 |
| 修学中 | オステオパシー D.O.(取得予定・修学中) |
| 臨床歴 | 12年・延べ数万人以上 |
「骨格・神経・筋肉・内臓・栄養」を統合的に診る整体師として、八王子を拠点に活動中。薬に頼らず体の本来の働きを引き出すアプローチを実践しています。